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東京地方裁判所 平成7年(む)192号 決定

主文

本件準抗告を棄却する。

理由

第一  申立ての趣旨及び理由

本件準抗告申立ての趣旨及び理由は、別紙準抗告の申立書のとおりであるからこれを引用するが、要するに、原々裁判(勾留の裁判)中の勾留場所の指定部分を取り消し、これを東京拘置所とする旨の勾留の一部取消しを申し立てたのに対し、原裁判がこれを却下したのは不服であるというのである。

第二  当裁判所の判断

一  一件記録によれば、被告人は、平成六年一二月二七日大麻取締法違反、覚せい剤取締法違反、麻薬及び向精神薬取締法違反の被疑事実により勾留され、平成七年一月一三日勾留のまま東京地方裁判所に麻薬及び向精神薬取締法違反、大麻取締法違反、出入国管理及び難民認定法違反被告事件で起訴されたところ、右弁護人は同年二月二三日右勾留の取消請求(実質的には勾留場所の変更を求めるもの)をなし、同月二七日東京地方裁判所裁判官により右請求が却下されたこと、同年三月一日に開かれた第一回公判期日において、被告人及び弁護人の被告事件についての意見陳述等の手続が行われたこと、同月八日に至って前記勾留取消請求却下の裁判に対し本件準抗告の申立てがなされたことが明らかである。

二  そこで検討すると、本件準抗告の対象となっている原裁判は、第一回公判期日前に裁判官がした勾留取消請求却下の裁判であり、これに対し、第一回公判期日後に、申立人から不服申立てがなされたものであるところ、第一回公判期日後における被告人の勾留に関する処分は、本来、審理を担当する公判裁判所が審判に必要か否かの観点から公判審理の経過等に応じて判断すべきものと考えられるから、準抗告審にはこれを判断する権限はないものと解せられ、勾留取消しに関する本件の場合においても右と格別に解すべきものとは認められない。

三  そうすると、申立ての内容について判断するまでもなく、本件申立ては不適法であるから刑事訴訟法四三二条、四二六条一項により、主文のとおり決定する。

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